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FM那覇 アイ・ネット・ラジオ  2022年7月19日放送分から

イムゲー協議会の請福酒造の漢那社長 沖縄県工業技術センター豊川さん出演の1時間の動画と要約文を2つ

琉球の多様性文化って凄い…1/2

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 ―― 工業技術センターはもともと沖縄県に属する位置づけでしょうか。

【豊川】工業技術センターは、沖縄県の商工労働部に属する試験研究機関で、 沖縄県内の中小企業さん等の研究開発を応援する機関になります。 地域の振興に役立つ開発なり問題解決を主な業務としている機関です。 復帰前は琉球工業研究所でした。その頃から「泡盛」ですとか「やちむん」そういったものの試験研究をしておりました。復帰後は工業試験場という名前になり、今、工業技術センターというかたちで切れ目なく地域振興のために試験研究をしています。 活動の中のひとつに「ものづくり技術展」がありますが、成果発表だけでなく、企業さん同士の交流を深めていただいて、私どもも加わってあらたにトレンドなりを起こせないかということで始まった企画だと思うんです。そこで酒の新しい時流として芋酒(イムゲー)っていうのが出てきたんじゃないかと考えられていますね。

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実は、副産物の再利用からイムゲーがスタート

【漢那】そもそもイムゲーは豊川さんが見つけてきてくれなかったら出来てないんですよ。 沖縄の中で中小企業だけでは、なかなか発掘してしていくってできない、 豊川さんたちみたいな人たちがいるから出来てきたっていうのが事実なんです。

 

副産物再利用の話から、芋メインのお酒づくり…

【豊川】実はイムゲーっていうのは、最初っから酒メインではなかったんですよ。 タルトとか紅芋菓子が、沖縄にいっぱいあるじゃないですか。 芋1kgで紅芋タルトになるのは500g、その副産物である残りの500gは廃棄物になってしまう。 それをなんとかしたいっていうのが最初の動機というか相談だったんです。 この廃棄物をどう加工したらいいかなとか色々考えているうちに、 あっ、昔そういえば芋の酒があったこれを作れるんじゃないかと。漢那さんにこんなのが実はあるんだけどっていう話をしたら、 漢那さんがノリノリでぜひやりましょうということで、副産物の話から芋をメインに使ったお酒ということではじまったわけです。

 

【漢那】僕、その時のこと覚えているんですよ、その場ですぐやります、すぐ試作をお願いしました。 豊川さんの話を聞いて確実にいけるなとわかりました。 そもそも昔作ってたということは沖縄に向いてるお酒のはず、 じゃなかったら昔作れるわけがない、ってことは技術的も特には問題ない。 あとは色々やんなきゃいけないのはありますけど、それでも、あっ、これはすぐカタチになるなと直感で感じましたね。

漢那さんとの出会いから流れができた

【豊川】私にとってイムゲーはOne of themなんですよ。 他にも紅芋の酢だったり幾つかある中の一つと考えていたんですけども、 時期的にも良かったんですけど、うまくマッチングして、漢那さんとの出会いからうまく流れができたという感じです。

 

 ―― One of themというお話があったなかですが、この芋自体の様々な用途の可能性は?

昔の人の芋の使い方は上手いというか凄い!

【豊川】芋は昔の琉球庶民のメインの食材ですから、これをなんとか加工しようっていうのは自然な流れです。 ちょっと調べただけで芋を使った味噌とか醤油、酒もそうですけども、干し芋お菓子などいろんなものが出てきます。 昔の人の芋の使い方は上手というか凄い、色々考えて色んな工夫をして使っていたんだなあっていうことが歴史を調べているとわかってきます。 美味しい物は主食として食べて、少し悪いものは加工品にする、最後は豚の餌までもっていくという、本当エコな昔の暮らしですよ。

―― 研究過程の中で例えば沖縄の特産品である食の部分で他に様々な用途に転用できる要素のある食物というのはありますか?

モノカルチャーの反対側は絶対楽しい

少しの余った物でも大事に用途展開するという昔の生活

【豊川】用途というか素材自体ではないんですけど、少しの余った物でも大事に用途展開するという昔の生活の仕方ですかね。なのでアイテムとしては昔の方が絶対多いですね。今みたいに特定のモノづくりに偏ったモノカルチャー的な生活ではなくて、小さな量で色んなものを作るという生活だったと思います。

―― 漢那社長このモノカルチャー、リスナーの皆さんにちょっとワンポイントで説明していただきたいなと思うんですが

同じものばっかりやってたら多分すたれていく

【漢那】モノカルチャーは色々意味合いもあるんですけど、悪い意味もかなりたくさん含んでいます。 うちも農業もやっていますが、農業のモノカルチャーで一番ヤバイなと思うのがやっぱり病気なんですよ。 県内全部同じ作物を作っていると病気が発生したら一瞬にしてすべてのものが消えるんですね。 それを解消するために例えば、畑でお芋も作っていました、時期を変えて麦とか米も作っていました 色んなものを作って多様性を持たすというのが非常に大事です。色々やってると売れるものにシフトもできます。 文化の面でも芋だけだったらダメなんですよやっぱり多様性があるから発展性も出てくるし、一つのものだったら最適化しちゃって、多分どうしようもなくなるのが行き着く先だと思うんです。

 

また、同じ作物を作っていると同じ栄養素しか吸収しないので畑の中の栄養が偏るんです。栄養素を偏らせないためにも色んな作物を作って万遍なく消費してまた追加してっていうのをやらないと土って絶対良くならないんですよ。だから化学肥料がダメっとかそういう問題じゃないんです。同じことだけやり続けるのはよくないっていうは人間も一緒です。同じものばっかりやってたら多分人間文化的にはすたれていく、色んなことをやった方が楽しいですし、発展も多分すると思うんです。そういう意味でいったらモノカルチャーっていうのは良くないんじゃないかなと。

いろいろある方が楽しいし、絶対いいんですよ

【豊川】色々ある方が楽しいですよね。 今の話と関連して琉球王朝時代に飲まれていたお酒なんですけども、原料は米とか芋だけではなくて、サトウキビで作ったウージ酒ってのがあったり、ソテツを原料とした酒や他にも色々。芋を原料としても蒸留酒と醸造酒があったりとか、酒ひとつにしても色んな原料を使って色んな方法で酒を作ってと色々多様性があるんですよ、まさにマルチ。 色んな酒があって飲み方があって色んな料理とも合わせてって楽しめる。

【漢那】長い目でみたら、技術的にも色んなことをやってた方が主力となるものにもフィードバックが出てくるんでが絶対いいんですよ。同じのだけ作ってたら技術が止まっちゃうので。

 

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最先端は琉球のモノづくり原点回帰

 ―― 研究開発で食品のみならず微生物それから廃棄物の利用なども含めて実に多くの内容取り扱ってらっしゃるんですが沖縄の地域性を捉えてですか

【豊川】そうですね。私は下っ端なんでよくわからないんですけど、多分沖縄の地域ニーズがそれだけ多様なんじゃないかなと思います。それに応えるために僕らは日々色んなことをやって対応してたら色んなことが蓄積できていた、多分そういうことじゃないかなっていうのは思うんですけど。

 ―― 廃棄物それから微生物の利用などについては沖縄自体の元々の特徴も含めて将来的にも非常に期待が持てる内容のものかなと

【豊川】島が小さいですからある程度完結できる、特に石垣島は手頃な大きさで環境に配慮して出来るだけ廃棄物を出さないゼロエミッションとかも色々やりやすい大きさじゃないかなと思います。地域のもので色んなのを使って最後まで使い切るということは非常にやりやすいんじゃないかなと思いますね

捨てるものを有価物に変える

【漢那】離島で一番大変なのが輸送コストなんですよ。 だから島の中で完結してくれた方がビジネス的にも非常にありがたいです。 仕組みづくりするっていうのがなかなか難しいんですけど、 だんだんそれが評価される時代にもなってきたんで、 やりやすくはなってきているかなと思いますけど。 ただ正直沖縄で製造業をやる限りはこの辺はけっこう考えないといけないんですよ。 例えば廃棄物をたくさん出したらそれだけコストかかるしそれは本土でやるよりもかかるんですよ。 だからより少なくした方がいいわけだし。 逆に捨てるものを有価物に変えきれるんだったらなおのこといいので。 やっぱりここは非常に必要なこと。 多分昔もそういうのがあったから色んな利用をしてたんじゃないかなと思うんですけどね。 もともと資源が少ないので沖縄自体が。 あるものをいかに活用するかっていうのが当然いくのかなあと思いますけど。

 ―― 工業技術センターさんの役割どころって、≈いるようにも思いながら実はある種の原点回帰にもなってるというかも。

【豊川】技術的には現代のを使うんですけども、目指す方向というか理念というか、それは昔の人々のやらぜるをえなかったそこに根ざしているのかもしれないです。地域にあるものを使って自分たちの有用なものを無駄なく使っていく作っていく。当然ですね、昔はそこで色んな失敗とかあったんでしょうけど、今は科学技術なりが発達しているんでそこを現代の技術でより効率的により美味しくより安全にとか。そういったところをやっていけるんじゃないかなということだと思うんですね。

、沖縄の中の最適な官民の役割分担に続く

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