地産地消の酒づくりIMUGE.誕生 4/4

―― 以前、次世代戦略の商品群としての「IMUGE.」をご紹介いただいたんですけれども。このイムゲーに着目したきっかけ、ポイントなどお話をいただきたいんですが。
お米の作れない沖縄で地産地消の酒造り「IMUGE.」でスタート
【漢那】もともと僕がやりはじめたんですけど、一番のきっかけは昔から地元産の原料でお酒を作れないかなぁってずっと思ってたんです。なぜかというと、普通どこの地域でも観光でものを売っていこうとした時に特産品は地元の原料で作る、しかし沖縄泡盛は僕が会社入った時からタイ産米使ってます。沖縄ではお米が作れない、でどうしたら地元産の原料でできるんだろうとずっと悶々としてたんですよ。だけどたまたま沖縄で昔お芋でお酒作ってたっていう記録があって中身を見たら焼酎とも違うもんですから、すぐに砂川さんに相談して「やろう!」っていうのからスタートしてます。だから地産地消でやっていくかっていうのがスタート地点にあります。
―― そこってすごくいいなあと。地元の特産として地元の原材料にこだわる意味合いってすごくおっきいですもんね。


沖縄の伝統的農産物“島やさい”として認定されている芋ですが、紅芋の他にも、実はいくつかの種類の芋が栽培されています。
沖縄の酒を芋でつくるのは必然なんです
【漢那】まさにこれがポイントでですね、例えば芋焼酎があって人気があるからイムゲーじゃないんですよ。何100年前から作られてったてことは沖縄で作りやすいまたは向いてるお酒なんですね。さつまいもまたは甘藷は元々南米産中南米あたりから中国に行って、沖縄に来てそこから薩摩に行ってさつまいもになって全国に広まってるんですけど、いま鹿児島とかで作られてますけど実は沖縄の方がはるかに作りやすい暑い地域の作物なんですよ。だから沖縄にはもともと、さつまいもがたくさんあったし、それでお酒作っているのはもう必然なんです。必然だから僕らが取り組むことにすごく向いてる、沖縄のお酒になれるなっていうのが、一番やりながら感じていることですね。
スピリッツ免許をとるのに1年
【砂川】イムゲーを構想したのが2015年の年末でしたっけ?7年ぐらいしてる…。久米島の久米仙の島袋社長をお呼びして3人でやろうってなってそこから政令を変えていただいて。僕らの当時の免許ではできないってことになって、じゃあスピリッツ免許と取ろうっていうので1年ぐらいかかりましたよね。
―― 免許申請から受託までが
いざ、作り始めたら、芋不足で生産中止!
【砂川】そこから作り始めたら、今度は芋不足になってすぐ生産中止になってみたいな、でしたね。

IMUGE.の本格販売のために甘藷栽培を開始。かつては主食だった甘藷だが、今は生産量もわずか。甘藷はもともと沖縄の気候風土にあった作物だから、沖縄の脳号にとっては大きなビジネスチャンス!
で、請福酒造で農業はじめました
【漢那】うちは自社でもう農業をはじめてます。自分で芋を作ってます。各島、人に作ってもらってとかいろいろ形態は違うんですけど形態。お芋ってすぐ傷むのでこれを輸送して持っていくってあんまり向いてないんですよ。冷蔵費用とか冷凍費用とかかかるので。だから沖縄すごく作りやすいので、作りやすいんだったらそもそも地元産でやればいいんじゃないかっていう。できちゃう作物またはお酒なんですよ。これが泡盛の場合お米がどの島でも穫れますかっていったら穫れないないので、お酒にするだけの量もないですし作れないんですよ。唯一沖縄の中でお酒になれるぐらいものが作れるのがサトウキビと甘藷なんですね。だからこの2つを使って作ったお酒っていうのがある意味必然なんですよ。地元産でやろうと思ったら。
―― 確かに地元の原材料ということを考えた時に一番重要なのって製品として継続的に出荷が可能かどうかというポイントってすごく大きいですもんね。
酒だけじゃなく、他の商品にも転用できる作物がキモ
【砂川】転用がきく作物っていうのが実はキモかなぁと思います。ある特定商品だけでしか使えないっていうのは結構キツイですよね。お米だったらもちろん主食にもなりますし、芋でしたら昔は主食でしたけどお菓子にも転用できますし。そうじゃないとみんなキツくなる日が来るだろうなってのが見えてますよね。そういう意味では芋っていうのは、ましてやサトウキビっていうのは僕らが歴史的なことを紐解いてもまあ理にかなった答えかなとは思います。
それをもう実際やっているのは漢那さんですし、今やってるのが、麦とかもやってますもんね
生産性を向上させるしくみを取り入れた農業に取り組む
【漢那】はい、実際麦作ってその次にお芋作るっていうのが非常に向いてるんですよ。最近ウクライナの件で肥料代がすごく上がって日本政府も肥料の使用量を減らして堆肥を使おうっていうのが出てきてます。そうなったらこの二毛作っていうやり方っていうのはやらないと。お芋は肥料の窒素分が多すぎるとあんまり出来ない、だけど堆肥を入れてあげないと土が肥沃化しないので窒素分をイネ科の大麦で吸い取ってあげて稲を作って、そうすると土は窒素分が少ない肥沃な土壌になるんです。そこでお芋を作るといいのができる。これをずーっと繰り返すことで土っていうのは良くなってくるんですよ。だから必ずこのやり方っていうのはこれから出てきます。
実際これをちゃんと制度的にやったのがイギリスで産業革命前に、土地の集約的利用(コントロールしながら色んなの作る)で農業生産を飛躍的に向上させるノーフォーク農法導入することで農業革命が進展していったんです。大昔から人間は一つの畑でコントロールしながら色んなの作るっていうのは経験的にわかってやってたんですけど、なかなか難しい。ただ今、沖縄の中でもそういう風な二毛作をやってくっていうのが非常に社会的意義も大きいという風に思ってるんです。
