FM那覇 アイ・ネット・ラジオ  2022年6月18日放送分から

イムゲー協議会の多良川の砂川専務、請福酒造の漢那社長出演の1時間の動画と要約文を4つ

沖縄のお酒の歴史を紐解けば…1/4

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沖縄にはいろんな酒をつくる文化が根っこにあって、その過程に泡盛が登場

 ―― 沖縄って、もともといろんな酒類のお酒を作る文化がまず根っこにあって、その流れの過程に泡盛が登場しているという理解だったと思うんですが。

【砂川】そうですね、前回お話しさせていただいたように、主食となる穀物類を使ってお酒を作っていくというのは世界をみわたしても、歴史的な考察でも出てきますし文献にも出てでくるというお話しをさせてもらったかと思うんですが、漢那さんの方が詳しいので。

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沖縄のお酒の歴史を紐解けば…

 

そもそも原材料がどう手に入ったか

【漢那】沖縄のお酒の歴史を語る上で一番キーになるのは、そもそも原材料がどう手に入ったかってのからきます。 泡盛はお米で現在作ってますけど、琉球王朝時代は、アワとかを使っていたというふうに記録もありますし、おそらく麦も使っていたんじゃないかと思っています。沖縄は世界的にも作物がたくさんとれるっていう地域でもなく、台風があって、さらに水があまりない。そうすると作れる作物っていうのがもともと少ない。 大昔はヤシの木でお酒を作っていたというのが、一番古く資料としてちょこっと残っています。

 

クチュクチュの口噛み酒

また、量が少ないながらもアワとかヒエとか麦などの穀物も一部あったんですね。 ただ大昔は麦があったからって、どうやってお酒にするのか、今みたいに技術もない。 日本全国、世界中そうなんですけど口噛み酒っていうのがあります。唾液の中には酵素という成分がたくさん入っていて口の中で穀類をクチュクチュと噛んであげると唾液が穀物のでんぷん質を分解して糖分にかえるんです。 で、口噛んだのを吐き出してそれを溜めると穀物の澱粉が分解されて糖化といって、糖分を含んだおかゆ調になるんです。 これを放置しておくと自然にアルコールの入ったおかゆ状のものが出来るんです。 これを昔はそのまま飲んだり、または濾して作るのが一番原始的なお酒になります。果汁はもともと糖分があるのでヤシの木とかはそのままアルコールになりますし、ぶどうとかも当然そういうことでアルコールになります。 で大麦は麦芽っていうのがあるんですけど、穀類で作ろうって思ったら口噛み酒っていうのがだいたい世界中どこいってもありますし、沖縄もそういう風にしてお酒を作ってたっていうのが実態になります。

 

【砂川】口噛み酒はけっこうどこにでもある文献に残っています。宮古島の僕らの集落の隣の集落でも口噛み酒をやってた「ウタキ」が残ってたりしますから、みんな考えることは一緒なんで、そこがねおもしろいですよね。

食料が安定すると主食となる穀物を原材料に、世界中で必ずお酒が生まれてくる

【漢那】多分、狩猟採集文化の時も乳から作ったお酒っていうのがありましたが、世界中どこも農耕が定着して食がある程度安定してくるとそれを貯蔵し、ある程度満ち足りてくると嗜好、娯楽を求めて多分お酒を作るっていうのが人類の歴史なんだと思います。どこの地域でもその食のベースとしたお酒っていうのが必ず、生まれてきますね。

 

 ―― なるほど。一つは嗜好品でもありながら、生活もしくはそれぞれの地域に根ざす食糧事情にも応じて、方向性が似通ってくるというイメージですね

なんと!水環境が悪いと、お酒が水代わりに…

【漢那】昔は、水が悪かったので、ある程度発酵させて作ったお酒が水代わりにもなっていた。要するに一回発酵させるとアルコールで殺菌される。世界中で今でも水が悪いところは水の代わりにある程度薄い酒を飲んでいるって場合もあります。

 

【砂川】アルコール消毒なんですかね(笑)

 

【漢那】沖縄本島も水に問題があったので、それに近かったんじゃないかな。石垣島は水がたくさんありますけどそれ以外の島はあんまり水がないので。

鳥や猿がワインを作って…

【砂川】ワインとかは人によって定説いろいろあって、鳥が作ったとか猿が作ったとかよく聞く話です。ぶどう畑に来る鳥がその場で食べないでいつも持って帰る、何かなぁとぶどう農家が見に行ったら巣の中にぶどうが溜まってて、それを飲んでみたらワインで美味しかったみたいな。それは鳥だったり猿だったりいろいろ説があります。

 

【漢那】お家でもぶどうがちょっと腐って臭いを嗅いだらちょっとアルコール臭がしますけど。実質これはもうほぼアルコール発酵してる、これをたくさん集めたらまあまあワインかな?みたいな。

 

 ―― かつて沖縄は、日本直轄というよりも世界的にある種の交易として貿易が動いていた時代でもあったと思うんですけれどその辺の影響もあったという理解ですか?

お酒は、コントロールされた腐敗=発酵です

【漢那】沖縄が実際貿易をちゃんと動かしていたのは、おそらく1400年とか1500年代ぐらいなんですよ。当然ちっちゃい船での多少行き来っていうのはあったんでしょうけど実際こういう技術的なものがk交易品としてうまれてきたのは1400年代ぐらいからかなあというのが状況証拠からはちょっと見えますけど。

 

【砂川】  先ほどヤシの木(樹液)のお酒の話をしてましたけど、今でも実際フィリピンとかではヤシの木のお酒ありますしね。なのでまあ泡盛のこの起源説と似ているのかもしれないですけど。海とのつながりというところで文化もしかしたらきてるのかもしれないですね。

【漢那】お酒の歴史自体 多分自然発生的にいろんなところで出来たんだと思いますよ。一カ所からお酒の作り方が広まったとはちょっと考えにくい。ただ何も考えずに腐敗させるとクサイ臭いとかいろいろ問題が出てきますけど、狙った通りにコントロールされた腐敗が発酵です。 生活の中でこうしたら、うまくできたというのがずーっと繋がってお酒の歴史を作っているんだと思います。

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琉球の国政貿易が育んだ沖縄の酒文化

 

超!売れ筋貿易アイテム「南蛮酒」

【漢那】だいたい1400年代あたりぐらいから、ようやく泡盛っていう言葉が出てくるんですけど、それよりちょっと前ぐらいから、まず稲作が中国から沖縄にも入ってきます。日本本土も多分似たような時期に入ってきてるんです。その頃から沖縄県内で穀物の栽培が正式に仕事、業としてやってるんです。で、それと同じ頃にタイとかインドシナ半島あたりから非常に度数の高い「南蛮酒」っていうお酒が沖縄にも貿易で入ってきたんですよ。 沖縄も当時、貿易で東南アジアに行き、日本本土にも行ってるんですね。でこの「南蛮酒」っていうのを入れてきたら「南蛮酒」の需要が貿易アイテムとして非常にあったものですからそれで結構商売になってたんです。

そんなに儲かるんだったら「南蛮酒」自分たちで作った方がいいんじゃない

おそらく沖縄の中では「南蛮酒」を入れてきましただけどそれをただ中継で買うぐらいだったら自分で作ろうと思ったはずなんですよ。

海外貿易を通して、稲作の技術が入って来て米とか麦とか穀物類が作れました。

さらに蒸留器が入ってきたので、それまでの口噛み酒の時代から穀類を原材料とした蒸留酒が出来上がるんですが、これが多分、泡盛だと実際そうだろう思います。

ただ昔作られていたものは今の泡盛とは随分カタチは違うんです。現在は専門的にいったらバラ麹っていう麹を作って泡盛を作るんですが、その当時は中国から入ってきた技術で、個体発酵の餅麹っていうのがあるんですけどそういうので作られてて、お米だけじゃなくて手に入る穀類で作ってたのがそうじゃないかなと思ってるんです。

【砂川】技術者も来てたでしょうね

「南蛮酒」の琉球で国産化する過程で「泡盛誕生」

【漢那】餅麹の技術自体元々中国から生まれたものです。今私たちが泡盛で作っているバラ麹っていう技術自体は日本酒の方から入ってきてるんですよ。そういう流れもあってその当時は価値の高い人気のあった南蛮のお酒をおそらく県内の国産化するっていうことで多分泡盛が作られはじめたんじゃないかなという風に思ってます。

―― 泡盛のひとつの原型みたいなものできた中に、時代に応じて技術革新であったりいろんな見直しを含めて現在製品化されてる泡盛の前段としてのひとつの製品群っていうのが出てくると思うんですが、私の当時の記憶でいうと泡盛と聞いた時に最初にイメージをするのはやはり度数は少し高めという中に30度くらいの泡盛が出てきたのが結構後のリリースだったようなイメージがあるんですが、この度数が高かったものを製品化を目指したというのは当時はこの技術的なものを突き詰めるとそういうかたちになったということですか?

「一番蒸留」はお客さまに、「二番蒸留」は自家消費「三番蒸留」は水代わり、消毒用

【漢那】昔は蒸留の技術がどうしてもつたなかったので狙って度数の高い製品を作ってたとかそういうことじゃないんですよ。お酒を作って蒸留する時にですね一番最初に出てくるっていうのは非常にアルコール度数が高いんですよ。一番最初だと70度とかだし、ちょっと置いといてもまぁ40度くらいになるんですよ。これが上酒って、または一番最初のやつは花酒って多分言ってたんでしょうけど。一番搾りじゃないですけどね一番蒸留のお酒、でその次二番蒸留で次に三番蒸留って、三番のやつをギー酒っていうんですけどゲー酒下酒なんですけどギー酒っていってたんですけど、そういう風にわかれてその3つ分かれたものを使い道として分けてたんですよ。例えば一番最初に出てくるアルコール度数が高いのは非常にコストもかかっているので一番穀類のだからこれはどうもお客さんに出す用で、真ん中のお酒多少アルコールが残っているちゃんとしたものは自分たちで飲む、で、下酒ってのは普段水代わりにしたりまたは消毒に使ったりとかそういう風にして実際は作ってたんですね。

【漢那】ただこれは実際のところ泡盛ではないんですよ。でなんでかっていったら泡盛っていうのは穀類で作るのでこの沖縄では非常に価値が高いんですよ。穀類っていうのは沖縄では一部地域で作られてますが、ほぼ穫れないですから非常にコストも高いのでそういう作り方はしてないですね多分これはイムゲーでやってたやり方なんです。ただその蒸留の文化自体は沖縄の中でイムゲーだろうと泡盛だろうと同じような人たちがみんな作っているので泡盛の世界にも上酒とかギー酒とかってのがありますし、イムゲーでも同じようにあります。